【体験談】ひきこもり高齢化は「共倒れ」の危険|その実態と対応方法

家族にとって大きな問題で、社会問題としても意識されている「ひきこもり」

社会問題と聞くとやや遠い存在に感じますが、実際に身近な人の話を見聞きする機会も増え、他人事とは思えないと感じている方も多いのではないでしょうか?

それに加えて進んでいる「高齢化」。これは「家族共倒れ」の危険をはらんでいます。
この記事では、筆者の体験談から見る実態、ひきこもり高齢化の対応方法に触れていきます。(筆者:40代女性)

ひきこもり自体は病気ではありません。また誰にでもおこる可能性があります。決して諦めずに「解決方法」を探っていきましょう。

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ひきこもる人と家族の現状

広がる「ひきこもり高齢化」8050問題

「親80代、子50代」親子共々高齢化し、生活が困窮してしまう「8050問題」や「7040問題」さらには「9060問題」に直面する家庭が増えています。

内閣府が2019年3月に発表した調査によると、40~64歳の中高年世代の引きこもり人口は全国で約61万3,000人
1980年当時は10~30代でひきこもり始める人が多く「若者問題」として取り上げられていました。

しかし、そのままひきこもりが続き50代以上の中高年世代になってしまった人も多く、また40~60代からひきこもり始める人も近年増加傾向にあります。

「ひきこもり高齢化」で起きる「家族共倒れ」の危険

「ひきこもり高齢化」による不安要素とはどのようなものでしょうか?

①経済的困窮
・親の年金や貯金切り崩し生活の破綻
・親亡き後の経済的支援が途絶える、子の生命の危機
②気力・体力低下
・判断力や決断力の衰えにより、ひきこもり問題の膠着状態
・親が介護状態となった場合の子の生活
・親自身のうつ病の発生

①「経済的自立」の難しさ
・40代を超えてくると就労のめどが立たない
②気力・体力低下
・本人の再生に対する意欲の低下・うつ病の併発など
・親子ともども高齢化している事への絶望感

親は子のひきこもりにおける有力な支援者である事がほとんどです。
しかしその親が高齢化すると経済力も気力も体力もなくなり、支援ができなくなりがちです。

また、ひきこもる子自身の高齢化も悪い状態へ進む一方です。それゆえ親子ともども生活基盤を失い、経済・生命ともに「共倒れ」の危険性が出てきてしまうのです。

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ひきこもる人のきっかけ・ホンネを知ろう

きっかけは「挫折体験」、ホンネは「脱出したい」

ひきこもりは、仕事や人間関係による「挫折体験」がきっかけという事が多く見られます。

出典:みんなの介護

ひきこもりは、仕事や人間関係による「挫折体験」がきっかけという事が多く見られます。
順風満帆に見える人が急にひきこもり状態となる事も多く、家族は「なぜうちの子が?」という思いから「こんなはずじゃない。これは怠けているだけだ」と無理矢理外に出そうと試みて、結果的にひきこもり解決が遠のいてしまうというケースもあります。

またホンネは「脱出したい」という前向きな内容であるにも関わらず、それができなくて苦しんでいる人が多いといいます。筆者である私もひきこもる時は怠けていませんでした。むしろ真剣に悩んでどうしようもなくなり、気づいたら誰にも会いたくないという状態になっていったのを覚えています。

【筆者のひきこもり体験】きっかけ・ホンネ・その後・脱出できた要因

私は、20代の頃完全なひきこもりではなかったものの、似たような状況から脱出した経験があります。

【筆者のひきこもり体験】
《きっかけ》吹き出物だらけの顔を、上司やお客様から「汚い」と言われ続けた事。
《ホンネ》 「一刻も早く治したいし綺麗でいたい。でもできなくて苦しい。」
《その後》 退職後、3か月間空き家で一人暮らし。その後元の生活に戻る。

当時エステサロン勤務の私は、ある日疲れやストレスなどから顔中吹き出物だらけになりました。
そんな時上司やお客様から「汚い」「早く治して」などと厳しい事を言われたのです。

運悪く肌はなかなか治らず自信とともに自分の価値がなくなるような感覚に陥り、どうする事もできず苦しんでいました。気づけばとうとう会社に行くのも怖くなり、退職。

その後3か月に渡り山中の古い空き家で一人暮らしをしました。結果、心身ともに回復し、また実家に戻り職探しを始めました。

《脱出できた要因》
当時を振り返り、この状況から脱出できた要因と思われる事が2つあります。

1つは、わずかでも働いていた事です。
親は住む場所は貸してくれたものの、生活費は出さないと言いました。

当時貯金もさほどなかった為、仕方なく近くのホームセンターで短時間アルバイトをしました。
でも「特に綺麗でいる事を強要されない」環境だった事はとても気楽で、嫌々ながらもなんとか働く事ができたのです。

わずかながらも社会とつながり続けていた事が復帰を早めてくれたように思います。

2つ目は、親が私を焦らせなかった事です。
定期的に訪れては、一人生活を応援し「今やれる事をやればそれでいい」と急かすような事は言いませんでした。

見放すわけではないけど、私にまかせてくれた事。
そのゆったりした時間が、ストレスを大きく解消させてくれたように思います。

私は、自分が一番苦しい、つらいと思っていました。
また自分の力ではどうする事もできず、誰かにこの状況を変えてほしい、ここから救ってほしいと願っていました。

でも親は手や気持ちは差し伸べるけれど、最後は自分で立ち上がるだけの『余白』を残して支援してくれたように思います。きっと心の中は「自分の子はこのままどうなってしまうだろう」と不安でいっぱいだったと思いますが、その焦りを私が知る事はありませんでした。

もがき苦しんでいた私にとって、親のこのような対応は大きな救いであったと感じています。

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ひきこもり、家族はまずどうしたらいい?

子がひきこもってしまった時、家族はまずどうしたらよいのでしょうか?

本人に代わり「家族」が相談できる医者を探す

ひきこもっている人が最初から医者に自ら相談できるケースは稀です。
そういう意味でも、本人に代わって家族の相談は大変有意義な方法だと思います。

医師が家族から情報を得て、方法を模索する事ができたり、初期段階で家族が最適な対応方法を知る事で、親子関係がこじれにくくなり、解決が早まる可能性が高くなるのではないでしょうか。

①思春期事例(不登校など)を扱った経験がある
②家族だけの相談にも応じてくれる
③通院しやすい

ひきこもりを扱った事のある精神科医でなくても、不登校を扱った事のある医者であればひきこもりの治療も可能な場合があるようです。またひきこもりの本人が後々通う事を想定し、通いやすい場所である事は大切です。

《参考》全国のひきこもり外来病院検索はコチラから

もし近くに病院がない場合は、ひきこもり地域支援センターや精神保健福祉センターなどで相談してみましょう。
《参考》厚生労働省 ひきこもり地域支援センター一覧

ひきこもっている人が安心できる環境を作る

私の経験から、「安心してひきこもれる環境」を与えてもらった事は大きな救いでした。

自分の話に耳を傾け、気持ちを共有し、手を差し伸べてくれる人がいた事はとても心強かったのです。
たとえコミュニケーションがうまくとれなくても、家族が耳を傾けてくれていると本人が思える事が大事だと思います。

将来の話や仕事の話は避けて、ニュースや芸能界の話などたわいもない話がよいのではないでしょうか?
また、「親のせいでこうなった」など子育てについての不満がでるかもしれません。

そういった場合も内容の是非はともかく、最後まで話を聞き、「聞いてもらえた」という安心感をもらえるだけでも心が救われるのではないでしょうか。

家族のケアも同時に行う

長年にわたるひきこもり対応で家族が疲れてしまう事はよくあります。
仕事や趣味どんな事でもいいので、まずは家族自身がリフレッシュをして気分を前向きにしてみましょう。

私の場合も、親は親の生活をし、私にかかりっきりになっていなかった事が心地良く、また実家に戻って仕事を探そうかなと思うきっかけになったように思います。

また同じ悩みを持つ親が集まる家族会や講演会、勉強会など人と話す事で、「自分だけではない」とわかる事で孤独も和らぎ、同時に解決策の糸口が見つかる事も多々あります。ひきこもりを家族だけのものとせず、周りへ広く共有する事は解決を早める第一歩となるでしょう。

 

《参考》厚生労働省「家族会」

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ひきこもり高齢化の対応策とは?

ひきこもる人も家族も高齢化している場合、家族でできる対応策を見ていきましょう。

遺言状を作成する

子は親亡き後も生きていかなければいけません。
その手立てを探る方法として、遺言状の作成を通じてひきこもる子にもライフプランを考えてもらってはどうでしょうか。

資産や借金などありのままに共有し、今後の見通しを話し合いましょう。
すぐに話し合いに応じられない場合は、まず家族だけでもファイナンシャルプランナーなどに相談してライフプランをたててみましょう。

そして文字に残します。
その上で、時間はかかるかもしれませんが、諦めずに子に向き合うように説得してみましょう。

「家族にも生活があり扶養できる限界がある事、そのためにも事実を直視しなければいけない事」をそのまま伝え、決してひきこもっている子を脅したり叱ったりする事なく、現状をお互いに把握する場を設けましょう。

《参考》働けない子どものお金を考える会

障害年金の受給

長期に渡りひきこもっていると、たとえ就労につけたとしても生計を立てるまでになるにはかなり時間を要します。
障害年金とは、障害や病気で生活できない場合に支給される年金です。

年金を受給しながら、ゆっくり社会に適応していけるので安心です。
ただし、障害年金は医師により「WHO(世界保健機関)が作成するICD(国際疾病分類)の病気である」と診断を下されることが必要です。なにはともあれ、まずは医師に相談してみましょう。

生活保護の受給

先程の障害年金受給は、ICD(国際疾病分類)該当が条件ですし、もし保険料の未払いがあった場合も受給できません。
でも生活保護は、病気やケガなどで働くことが難しく収入が十分ない人は誰でも最低限度の生活費用が給付されます。

ただし、生活保護の支給を決定する行政調査において、「親族からの援助の可否」が調べられ、「家族からの援助が受けられる環境にある」と判断されると受給できない場合があります。親と離れて単身生活をしてもらうか、世帯分離の手続きをするかが必要ですので、子と話し合いを設ける必要がでてきます。

次にご紹介する「親子別居」もその一つの方法として参考になさって下さい。

《参考》生活保護相談はコチラから お住まいの地域の「福祉事務所(生活保護担当)」

親子別居による収入の確定

子がひきこもっているご家庭においても、親の病気や要介護状態のリスクは一般家庭と同じです。
特に介護度が重い場合、月に2~30万円支払って自宅介護されているご家庭も多く、もし突然親がそのような要介護状態になってしまった場合、同時に子のライフプランも崩壊してしまいます。

それを防ぐ為にも早めに親だけ介護付き有料老人ホームなどに住み替えをする事で費用を固定化させ親子のライフプランを確定させましょう。
また年金の範囲内で入所できる場所を探せば、貯蓄の減るペースも遅らせる事ができます。ただし親の住み替えはある程度まとまった費用が必要になる事から、早めに準備する必要があります。

《住み替え候補地》は?
・グループホーム
・介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
・介護付き有料老人ホーム
・ケア付き適合高齢者専用賃貸住宅(適合高専賃)
《相談先》
①市役所・区役所の介護保険担当、または地域包括支援センター
②介護サービス情報公表支援センターを利用する

《参考》介護サービス情報公表支援センター

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まとめ:ひきこもり高齢化の対応方法

ひきこもりの子を持つ親の皆さんは、一日でも早く解決に導いてやりたいとお思いでしょう。
ましてや親子ともども高齢化しているとなれば、なおさら焦りを感じてしまうのは言うまでもありません。

でもここで一度立ち止まり、自分の愛する我が子が自ら立ち上がる力を信じてみませんか?
私の経験で良かったと思う事は、親が現状を否定するのではなく、「今やれる事をやればいい」ただそれだけを言ってくれた事です。

①「家族」が相談できる医者を探す
②ひきこもっている人が安心できる環境を作る
③家族のケアも同時に行う
①遺言状を作成する
②障害年金を受け取る
③生活保護の受給
④親子別居による収入の確定

ひきこもりはどの人にも、どのご家庭でも、いつでも起こりうる事だと思います。

一人でも多くの皆さんの不安がなくなればと、一人の経験者として記事を執筆しました。
どうかお子さんを信じてあげて下さい。

諦めなければ必ず道は開けます。焦らずゆっくり確実に…お子さんを信じて、ともに歩みましょう。

 

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